落下する夕方


同名の江國香織さん原作の本が大好きなので、大きな期待感、そしてちょっとドキドキしながらこの映画を見ました。
原田知世の清潔感のあるきれいさに、白を基調にしたファッションとインテリアがとてもよくあっていて素敵。恋人を失ってしまって悲しみでいっぱいのはずなのに、お部屋の中はとても居心地がよさそうで、悲しい時こそ日々の暮らしをきちんとしつらえたい… 映画を見ながらそんなことを思った私です。

リカ(原田知世)の恋人健吾の新しい恋の相手は、華子(管野美穂)。ワガママで自分勝手に生きているかのようにみえた華子が、じつは心に重いものを抱えて、イヤなことからすぐに逃げてしまう自分に強いコンプレックスをもっていることが興味深かったのです。自分自身に正直に生きようとすると周囲からはただのワガママに見えてしまう、そのジレンマにいちばん悩まされていたのは、彼女自身だったのかも…。
奔放な性格と天真爛漫さに隠れてふだんは見えない、華子の心に持つ哀しさや辛さが、しんとした美しい場面の中にただよっていたのが印象的。

ゆっくりと時間をかけて失恋していく、リカの切ない様子に、中村由紀江さんのきれいな音楽が重なって、何度も涙がでそうになりました。