救命士


ニコラス・ケイジが緊急救命士として、90年代初頭のニューヨークを舞台に活躍している映画。
ニューヨークの夜。麻薬、暴力、飲酒…病んだ都会の姿がそこにあります。人の命を救う、そんな救命士たちのことを描き出した映画なのに、主人公でもある救命士があまりにも人間くさいため、ヒューマン・ドラマには見えないところがある意味すごい。かつて一人の少女を救えなかった経験からノイローゼになってしまい、迷い苦しみながら、それでも深い傷をおってしまった人々を救うために日夜行動する救命士、フランク(ニコラス・ケイジ)の姿が印象的。

ストーリーらしいストーリーもほとんどなく、ただ激務に追われて心身ともに疲れ切っているフランクの様子と荒れた都会の夜、そこに集う孤独な人々が場面に映し出されていきます。そんな中、自分が病院に運んだ患者の娘メアリーとの出会い・・・ そこから生まれたあたたかな思い、ふれあいが唯一フランクのすさんだ心を慰めていきます。

人を救う、ということはけっしてきれいごとでは出来なくて、たとえ格好悪くても、前に進み行動できる人だけが苦しんでいる人を救える、そんな真実がじんわり伝わってくる映画。
映画の根底に流れる宗教的なテーマに触れた時、心がひきしまります。