カンゾー先生


映画「うなぎ」が大好きな私は、同じ今村昌平さんが監督されたこの映画をさっそく見たのです。終戦直後の田舎町が舞台になっているこの映画はとても人間くさくて、見ているうちに登場人物たちの体温が感じられるほどの人が持つ生々しさが伝わってきます。町の人たちからカンゾー先生と呼ばれている榎本明扮する町医者が主人公のこの映画・・最初は赤ひげ先生のようなみんなに親しまれるお偉い先生を想像していた私ですが、カンゾー先生は違っていました。それどころか、「あらあら、しょうがないわなぇ〜」なんて、思わす苦笑してしまうほど人間くさい町のお医者さんだったのです。

、そして・・がこの映画ではとてもおおらかにあつかわれていて、それは見ていて気持ちがいいほど。嬉しい時には大きな声で笑い、悲しい時には泣き、おおらかに恋をして男女が結ばれる・・・ 人間のもつあたりまえのサガが軸となっている本音の映画だから、見終わったあとで何か大きなものにつつまれたような、そんな気持ちになったのでしょうか・・。
でも、脱走兵の外人がふたたび捕らえられた時に受けるひどい暴力シーン・・ それはとても残酷で見るに耐えられないシーンでした。あの場面はこの映画にはたして必要だったのか、そのことが私には疑問に思えてしまうのです。

麻生久美子演じるソノ子の大胆なのだけど優しい女性、松坂慶子演じる大人の色気たっぷりの料亭の女将さん・・ 彼女たちのみずみずしさや女性ならではの艶やかさが、暗くなりがちな映画に彩りをくわえているのが印象的。

重いのだけど、どこかひょうひょうとした魅力のある映画は、見終わったあとで心に響きます。