・HOME
白 痴

坂口安吾の小説『白痴』を手塚治の長男手塚眞が監督した作品。
じつはこの映画、「表現が古くさい」だとか「解りづらい」など、あまりいい評判を聞いていなかったこともあって構えて見はじめたのですが、私は最初のシーンから釘付けになってしまいました。貧困と自堕落さでおおわれた、主人公伊沢(浅野忠信)の住む路地裏の不思議な世界・・・
「子供っぽいな」と思わせるような表現はたしかにありましたが、映画の根底に流れているテーマ、監督の意図するものが素直に私の心に伝わってきたのです。
舞台は過去と未来がごちゃ混ぜになり、おもちゃ箱をひっくり返したような混沌とした日本。メディアに代表される虚飾に彩られた形だけの世界に打ちのめされていく伊沢のもとに、ある日、隣に住む白痴の女性サヨが転がり込んできます。そこから始める奇妙なふたりの暮らし。
いつも死にたがっていた伊沢は、サヨの出現で生きる気力を培います。純粋すぎるために生きることが不器用な彼と、虚飾からはほど遠い存在のサヨはいつしか惹かれ合うのです。
ラストのあたり、空襲のシーンはすごい!私はこの映画から”ノアのはこぶね”てきなものを感じました。
伊沢が勤めるテレビ局のカリスマ的アイドル銀河(橋本麗香)の、サディスティックな言動と挑発的なダンスも見どころ。