愛する 
(監督・脚本/熊井 啓


遠藤周作さんの本、「わたしが棄てた女」の映画化されたものです。
熊井啓さんはハーブやポプリの世界で大活躍されている熊井明子さんのご主人。派手さはないものの、とても簡素な美しい映像を撮られる方、という印象を受けました。テーブルの上のしつらえやちょっとした背景の感じが、正しく清楚な感じでとてもよかったのです。ストーリーはドラマチックなのに、撮し方によってはこんなに静かな美しい映画に出来上がるのね・・・ ちょっと驚いている私です。

ただ原作本と違って、登場人物など、かなり美化されているのが気になりました。渡部篤郎演じる主人公の男性は、原作ではどうしようもない男性として描かれています。遠藤周作さんの本を読んでいると、こういったけっして善人ではない方もよく登場して、人の持つ、陽だけではない陰に部分にもスポットをあて、ある面容赦ない表現をされるのですね。彼が宗教をお持ちなのが何か関係しているのかしら。

映画では全編を美しいもの、美しい人だけで構成されてしまったことが、ちょっと物足りなかった私です。